共同企画の内容
児童養護施設(*1)に入所する若者の多くは、18歳の退所時に“就職”を選択します。2020年の厚生労働省の調査によるとその割合は62.9%と、全高卒者が就職する割合が17.9%に比べ(*2)多いと言えます。しかし、約半数以上の人が施設退所後に就いた仕事を離職・転職しているというデータもあります(*3)。
今まで全国140校以上の高校や児童養護施設等を中心にキャリアプログラムを届けてきた私たちは、15〜18歳の高校生世代にあたる若者と関わる中で、「働く」ことや自分の未来について考える機会がないまま就職してしまうことが、進路選択時でのミスマッチの原因の一つだと考えています。そこで、自分自身や社会人と対話する機会を設けることで、児童養護施設の若者一人ひとりが、より前向きなキャリア選択ができるよう、本プロジェクトを企画しました。
また、京都市と10 代1人ひとりが自分らしく生きることができるきっかけを提供する(*4)MIYACOは、2020年9月に行われた京都教育懇話会第第54回定例会『日本の未来と人づくり「新常態」の京都・今未来』を開催した際に、私たちの思いに共感してくださり、「KAZAANAプロジェクト」が発足しました。
(*1) 児童養護施設は、保護者のない児童や保護者に監護させることが適当でない児童に対し、安定した生活環境を整えるとともに、生活指導、学習指導、家庭環境の調整等を行いつつ養育を行い、児童の心身の健やかな成長とその自立を支援する機能をもちます。(厚生労働省HPより)
(*2) 厚生労働省子ども家庭局家庭福祉課 2020年度「社会的養育の推進に向けて」
https://www.mhlw.go.jp/content/000711002.pdf
(*3)京都市 2017 児童養護施設等退所者の生活状況 及び支援に関する調査報告書
https://www.city.kyoto.lg.jp/hagukumi/cmsfiles/contents/0000227/227765/tyousahoukokusyo.pdf
(*4)MIYACOが運営する10代が知る楽しさを覚え自分の興味を探求し、自分の未来にチャレンジできる学校「Onezero Academy(ワンゼロアカデミー)」。
https://www.onezerofc.com/
プロジェクト内容
今回のプロジェクトは、オンラインとオフラインの2つで実施します。オンラインでは、下記の3つのテーマのもとに講義やワークショップを開催し、オフラインでは、MIYACOのメンバーが参加者の伴走支援を行います。
5・6月
自己分析
【自分を知る】
ハッシャダイソーシャル・勝山のファシリテーションのもと、自己分析のワークを通して、参加者の原体験や価値観を言語化し、キャリアの方向性を明確にする。
7・8月
対話型の講義
【社会を知る】
国内外問わず多種多様な社会人に、オンライン上でインタビューをすることで、新たな価値観やキャリアの選択肢に出会う。
9月
最終プレゼンテーション準備・実施
【一歩、踏み出す】
これまでのワークを振り返って、自分のこれからやりたいこと・どうありたいかをプレゼンに落とし込み発表することで、参加者が一歩踏み出すきっかけを作る。
プロジェクト終了後も、参加者と社会人・メンターが繋がり続けるコミュニティを運営し続け、参加者の進路選択をサポートします。
今後の展開
今回のプロジェクトを経て、プロジェクト内容の更なる改善を行い、より多くの京都市内の企業と連携しながら、持続可能なモデルとして、事業の継続・拡大を行ってまいります。またハッシャダイソーシャルは、今回のプロジェクトを形にすることで、同じような課題を抱えている全国の児童養護施設と連携し、「すべての若者が自分の人生を自分で選択できる社会」の実現を目指して参ります。
代表者コメント
・京都市長 門川大作氏
「京都ならではのキャリア支援プログラムを開発したい」。若き企業・団体の代表者お2人のそんな強い思いが、未来に風穴を開ける「KAZAANAプロジェクト」という形で、今動き始めます。京都市ではこれまでから児童養護施設等で暮らす子どもたち一人ひとりが、退所後の人生をしっかりと歩んでいけるよう、入所中から切れ目のない支援に取り組んできました。そして今回、一般社団法人HASSYADAI social、株式会社MIYACOの皆様と共に、この新たな取組を始められることを大変嬉しく、心強く思います。コロナ禍で顕在化した格差や諸課題を克服し、全ての若者が自分で納得する人生の選択ができるように。そんな願いがこめられた今回のプロジェクトを通じて、「誰一人取り残さない」持続可能な社会に向けて、本市としても力を尽くしてまいります。
・京都児童養護施設長会代表 つばさ園 石塚かおる施設長
様々な事情を抱えて児童養護施設で暮らす子どもたち。厄介なことを起こすこともありますが、子どもたちはそれぞれ素晴らしい可能性を持っています。その可能性を最大限に生かせた時、子どもたちはびっくりするくらいに輝き始めます。子どもたちの輝く姿を見た時、私たちの疲れは一瞬で吹っ飛ぶのです。HASSYADAI socialのプログラムは、まさに子どもの可能性に着目した事業だと思います。きっと私たち児童養護施設の職員と同じような気持ちでいてくださっていると感じています。子どもたちの輝く姿を一緒に見たいと思います。
・MIYACO代表取締役 中馬一登氏
HASSYADAI socialの勝山さんとは、同じ京都の生まれ育ちというご縁もあり、子ども・若者への想いを語り合う仲間であり同士です。いつか故郷の京都のために、共に汗を流しましょうと話したことが、「KAZAANA プロジェクト」という形となりました。そして、主催団体のプロジェクトの先にある未来や想いに共感をいただいた京都市さん・児童養護施設の皆さんのご協力をいただき、プロジェクトが始動し、子どもたちにプログラムを届けることができるようになりました。「すべての若者が自分の人生を自分で選択できる出来る社会」を目指し、関係者の皆さんと一緒に、子どもたちが、自分を知り、社会を知り、自分らしく生きるための選択ができるきっかけをつくってまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
・ハッシャダイソーシャル代表理事 勝山恵一
僕自身も京都出身で、ずっと京都の若者たちが自分の人生を自分で選択できるきっかけを届ける活動を行いたいと思っていました。だからこそ、京都市の皆さんとMIYACOの皆さんと一緒に今回のプロジェクトを実現させることができて、嬉しいです。また、ただプロジェクトを実施するだけではなく、参加してくれる若者たちにとって人生の転機となるような時間を作ります。また、来年度以降も、京都市への想いを持っている皆さまや企業さまと連携し、持続可能な形で本プロジェクトを行っていきます。
<主催>
・株式会社MIYACO
株式会社MIYACOは「我がままであれ」というコーポレートメッセージを掲げ、自分らしさを魅力・ツールにしながら、社会に対して新たな価値とワクワクをもたらす事業を展開しています。 10代一人一人が自分らしく生きるためのきっかけを生み出す「Onezero FC KYOTO」や 世界で活躍する教師を輩出するための教育プログラム「Global Teacher Program」などのEducation Design事業や事業とともに地域の魅力を高める観光・インバウンド事業などを展開しています。
・一般社団法人HASSYADAI social
⼀般社団法⼈HASSYADAI socialは、全国の⾼校・少年院・児童養護施設等、毎年140校以上でキャリア教育を提供する団体です。「生まれ育った環境にかかわらず、自分の人生を自分で選択できる社会」を実現するために、全国の高校生向けの授業や独自の教育機関で効果測定などの活動を行っています。
<共催>
・京都市
<協力>
・京都児童養護施設長会
協賛・ご寄付の募集
本プロジェクトは、児童養護施設への継続的な機会の提供を実現するため、個人の皆さまや企業・団体からのご寄付やご協賛を募集しております。本プロジェクトに共感・賛同頂き、ご寄付やご協賛を検討頂ける方は、本ページ下部「本件へのお問い合わせは下記まで」に記載の連絡先までご連絡ください。