プロジェクトストーリー
プロジェクトストーリー

市場のニーズを先読みし、業界シェアNo.1へ――DMMオンラインサロンの先見性
- チャレンジある人にチャンスあり
- 非上場企業にしかできない経営判断
- 商売が好き
- 圧倒的な意思決定スピード

- サービス概要
「DMMオンラインサロン」は業界シェアNO.1(※1)のオンラインサロンのプラットフォームです。 2016年にサービスを開始し、現在(2025年2月時点)は累計4,000以上のサロンが開設。 著名人やアーティストが主宰するファンクラブ型のサロンや、専門家からビジネススキルや教養を学べるサロン、美容やライフスタイルなど共通の趣味を楽しめるサロンがあり、有料でサロンを利用する会員数は累計約100万人に上っています。 オンラインサロンに特化した専用コミュニティや、オーナー向けの勉強会などを、初期費用をかけずに利用可能。 低コストでサロンを運営できます。 ユーザーが安心してサロンを利用できるよう、悪質な勧誘、誹謗中傷などを防ぐセキュリティ対策にも力を入れています。
- 参入背景
2010年代中頃、チケット販売サービスやアイドル応援アプリ(現在はいずれもクローズ)などとのシナジーが期待でき、DMMのエンタメイメージの強化になる、とオンラインサロンプラットフォームに着目しました。
当時はまだプラットフォーム事業者が少なく中小ベンチャーが主だったことから、業界トップシェアが狙える、と参入しました。
4,000サロンが開設。 会員100万人、流通総額200億円以上に成長
インターネットを中心に運営される、クローズドなコミュニティである「オンラインサロン」。月会費を支払うことで、著名な起業家やインフルエンサー、芸能人などと直接チャットで交流できたり、会員限定の動画を視聴したり、セミナーやオフ会に参加できたり、と多様な特典が得られます。日本では2016年頃から広まり始め、外出が制限されたコロナ禍に急増しました。
そんなオンラインサロンのプラットフォームにおいて、国内NO.1シェアの座を維持し続けているのが「DMMオンラインサロン」です。オンラインサロンを運営できるプラットフォームをサロンオーナーに提供し、ポータルサイトの役割も果たしています。2025年2月現在で累計4,000以上のサロンが開設されており、堀江貴文さんや河村真木子さんをはじめとした人気オーナーのサロンも多数揃っています。
DMMオンラインサロンを利用している有料会員数は2024年度で累計100万人を超え、サロンで取引される流通総額は200億円以上に達しています。「市場や社会の状況を見ながら、変化を見越して先手先手で動いていきました。だからこそ、急速な勢いで成長でき、業界シェアNO.1であり続けられたのだと思います」と分析するのは、オンラインサロン事業部事業部長の豊好竜弥氏です。

ライバルがほぼいない黎明期に参入し、業界トップの座に
DMMオンラインサロンが業界シェアNO.1を獲得できた理由のひとつは、業界でも早い段階で参入したことです。 サービス開始は2016年2月。 当時は堀江貴文さんを始めとした一部の著名人がオンラインサロンを運営していたものの、まだ少数派でした。 プラットフォームもまだ数えるほどしかなく、経営母体も小さな会社ばかり。 ビジネスとしての将来性があるのか未知数でした。
そんな黎明期に参入したのは、ライブやイベントなどのチケット販売サービス、アイドル応援アプリなど、DMMがすでに展開していたエンタメ系事業とのシナジーがあると判断したからです。 「当時は、アイドルなどの芸能人に営業をかける時、複数のソリューションを持ってアタックしていく戦略を立てていました。 そのソリューションの一つとしてオンラインサロンに着目し、まずは挑戦してみるというスタンスでスタートしました。」(豊好氏。以下同)
当初は「DMM Lounge」という名でスタート。 堀江貴文さんをサロンオーナーとして招き入れたことでプラットフォーム自体の知名度が高まり、開始1年目から。 業界内で影響力を拡大していきました。

サービス開始2~3年目に、素早くブランディング変更
順調なスタートを切りましたが、豊好氏はまったく安心していませんでした。 競合サービスが出てくることを見越して、ユーザーのニーズを探り、次々とサービスを進化させていきます。
まず、サービス開始2~3年目に取り組んだのが、ブランディングの変更です。 開始当初は「芸能人と密にコミュニケーションが取れることが喜ばれるはずだ」と考え、芸能プロダクションに営業をかけ、サロンオーナーに招き入れていました。 ところが、その予測は外れていたことに気づいたといいます。
「有名な芸能人ならサロンに人が集まるとは限らないと分かったのです。 反対に、予想より伸びたのは、専門家や特定職業の方のサロンでした」
その好例が、美容師やネイリストのサロンです。 店舗経営の要諦やSNSマーケティングのコツ、ネイルの技術など公にしにくいノウハウを直接学べたり、切磋琢磨できる同業者と知り合えたり、といったことを求めて、多くのユーザーがサロンに入会していました。
そこで、サービス開始2年目の2017年に、早くもサービス名を、VIPな印象もある「DMM Lounge」から、幅広いジャンルのオーナーが集まりそうな「DMMオンラインサロン」へと変更。 2018年から、専門家や特定職業の方へのスカウトを強化しました。 この路線変更が的中し、サロンオーナーも会員数も増えていったのです。

初期から独自プラットフォーム開発に投資し、差別化に成功
ブランディング変更と同様に、サービス開始2~3年目に取り組んだのが、オンラインサロンの独自コミュニティアプリの開発です。 開始当初は、サロン内のやり取りはFacebookグループを使い、会員管理や集金などはDMMの管理システムを使う仕組みを採用していました。 運営が低コストで済むため、他社も似たような仕組みを取っていました。
しかしFacebook自体がサロンコミュニティ専用ではないため、運営上の課題が顕在化していました。 たとえば運営側で検知できないFacebookの仕様変更や、実名でのユーザー登録が必須であることによる運営上の制約。 また、Facebookと課金のシステムが完全同期できないので、入退会処理の手間がかかることも起きていました。
そこで2017年に、当時の業界2位で、独自プラットフォームを開発していたシナプスを子会社化。 技術的なノウハウを吸収し、多額の投資をして、DMM独自のコミュニティアプリを開発したのです。 オンラインサロンの運営に特化したシンプルなコミュニティツールでコミュニケーションが活発になっただけでなく、入退会や課金などの処理も自動化しました。
「これによって、サロンオーナーは、細かい事務処理や問い合わせ対応の手間がなくなり、コンテンツ作りやサロン内のコミュニケーションに集中できるようになりました。 費用はかかりましたが、他社との大きな差別化になりました」
その後もコミュニケーションツールのiOSアプリ化やコロナ禍が起きる前に、ライブ配信機能の開発が完了するなど、常に数年先を見越したプラットフォームの進化を実行してきました。 こうしたブランディングの変更や、プラットフォーム開発などをスピーディに行えたのは、経営陣との距離の近さに加え、DMMの強みである潤沢な資金力を活かせたからでしょう。
「DMMは現場にイニシアティブを取らせてくれる会社ですし、かといって放置するわけではなく壁打ちが必要となれば、会長や本部長がすぐに応じてくれます。 また、将来の増収・増益につながるのなら、一時的な減益を許容してくれるところもあります。 2021年のコロナ禍に、競合他社と対抗するため、オーナーの取り分となる報酬率をそれまでの75%から最大90%にまで引き上げたのですが、一般的な企業では簡単に許容していないと思います」

バックオフィスが強力だから、コア事業に集中できる
DMMオンラインサロンが他社と差別化できている要因は、サポート体制が充実していることもあります。 スカウトをしたオーナーには、サロン開設後も引き続き伴走するサロンプロデューサーの他、事業部内のカスタマーサクセスチームもいて、オーナー勉強会の開催や直接的なサポートをおこなっています。 またユーザーサポートに関しては別の部署が担当しています。
「実はユーザーサポートはDMM本社のカスタマーサポートの部署にお願いしています。 他にも、障がい者雇用をしている本社のビジネスクリエーション部に細かい事務作業をお願いしています。 その他にも人事総務、経理、法務、コーポレート室など強力なバックオフィス体制が自社内にあるおかげで、私たちは事業のコアの部分に全力投球できるし、経営陣も戦略的な判断のみに集中できます。 これもスタートアップにはない、DMMで新規事業を立ち上げる魅力だと思います」
オンラインサロンは一種の”推し活”。 タレントやインフルエンサーはもちろん、専門家や趣味のジャンル全体も推しの対象。 多様な推し活のコミュニティを数多く生み出していきたい、と豊好氏は言います。
「近年、DEIB(ダイバーシティ・エクイティ・インクルージョン・ビロンギング)というキーワードを目にします。 そのうちのビロンギング、帰属意識を感じられる場に、オンラインサロンはなり得ると思うのです。 誰も置いてけぼりにすることなく、誰しもが楽しんだり学んだりできるプラットフォームを作るのが私たちの役割だと考えています」

- ※1 デロイトトーマツミック経済研究所調べ「オンラインサロン総合プラットフォーム市場の動向」(ミックITリポート2023年10月号 https://mic-r.co.jp/micit/2023/)