教育、水族館、サッカークラブ。——領域の異なる40以上の事業を展開するDMM.comで、ほぼ全ての事業を管理・掌握している最高執行責任者(COO)村中悠介。 連載「建前なしの事業部談話」では、村中が各事業部の事業部長(メンバー)と対談。事業運営の実情について、建前なしで赤裸々に語っていきます。 今回は、アミューズメント事業部事業本部長の岡崎翼が登場。入社1年目に新規事業「DMMぱちタウン」を起案し、翌年に事業立ち上げ。現在は複数事業の責任者である岡崎に、事業成長の至りとDMM.comでのキャリアのつくり方について話を聞きました。

入社1年目の社員に、10億円の予算

—— 岡崎さんは社員番号二桁で入社した、古株の社員だとお聞きしています。

岡崎 翼(おかざき つばさ)セールスソリューション本部 アミューズメント事業部長
リクルート、広告代理店などを経て2012年DMM.comに入社。動画配信事業部のセールスを務めながら、入社一年目で「DMMぱちタウン」を起案し、立ち上げ。現在は農業に関するを行うDMM Agri Innovationなど、複数の事業で責任者を務める。


岡崎:DMM.comには、57人目の社員として入社しています。グループ会社の株式会社ティーアイエス(以下、TIS)に営業として入社し、当時担当していた事業が閉じる際に異動してきました。

村中:クーポン事業のメンバーとして入社したんだよね。クーポン事業を運営する企業は他にもあったけど、なぜDMMグループを選んだの?

岡崎:DMMグループでなければいけない理由はなかったですし、クーポンに興味があったわけでもないのですが、ただ単に面白そうだったんです(笑)。ずっと営業畑で仕事をしてきていて、営業職で仕事を探していたところ、タイミングよく求人を見つけたということもありました。

またリクルート時代から温めていた事業プランを、新規事業として動かすチャンスもあると踏んでいたのもあります。

村中 悠介(むらなか ゆうすけ)合同会社DMM.com COO
2002年にDMM.comに入社し、動画配信事業の営業担当を経て、事業責任者を務める。2011年に取締役就任後、アミューズメント事業、アニメーション事業など多岐にわたる事業を立ち上げる。 2017年11月サッカーベルギー1部リーグ シントトロイデンの経営権取得。2019年5月よりDMM GAMES CEOを兼任。現在DMM.comの40以上ある事業を統括する。


村中:それが「DMMぱちタウン」だよね?

岡崎:そうです。もともとユーザーだったこともあり、事業をつくれるチャンスを感じていました。大きな市場なのにプレーヤーが少なく、さらに改善の余地が多くあったんです。動画配信事業の営業と並行し、「DMMぱちタウン」を立ち上げさせてもらっています。

村中:最初の事業プランは落としたんだけどね。ただ、市場があることは分かったので、一緒になって磨き込みを行った記憶があるよ。事業化が決まる以前から、競合他社にヒアリングをさせてもらったりしたね。

岡崎:そうでしたね。結局「DMMぱちタウン」は、初年度に10億円の予算をいただきました。入社1年目の社員が提案したプランにこれだけの予算を用意するなんて、「なんて大胆な会社なんだ!」と感心しましたね(笑)。

足元の努力と挑戦への意志に応える

—— 「DMMぱちタウン」は、今年で8年目を迎えると伺っています。立ち上げから現在に至る遍歴について、お聞かせください。

村中:業界には既に大きなシェアを持つプレーヤーがいましたが、モバイル領域が“がら空き”だったんです。そこで、モバイルアプリを開発して市場を取りにいきました。既存のプレーヤーと共存する形で、事業がスタートしているんです。

ユーザーと企業(店舗)、双方にアプローチする必要があったので、立ち上げ期は相当気合いを入れていました。まずは機種情報を手打ちで入力してユーザーを集め、今度は店舗への営業活動。結果的に、リリースから半年間で全国1,000店舗に有料掲載をしていただくことができました。現在は、約6,000店舗以上(2020年8月現在)が有料掲載するメディアに成長しています。


 

—— DMM.comは新規事業が数多く立ち上がる風土があるとお聞きしています。岡崎さんは実際に事業立ち上げをされた立場として、どのような支援を受けられる会社だと感じていますか?

岡崎:まず何より、事業成功につながりそうな情報がどんどん集まってくるなと感じています。それは今も変わらずで、役員陣が事業を大きくするためのヒントをどんどん提供してくれるんです。

また、人員の支援もありがたかったです。店舗に営業をするにあたり、グループ企業のメンバーおよそ100人が力を貸してくれました。他にも、バックオフィスを巻き取ってくれるなどのサポートもあります。一言でいえば「やるべきことに集中する環境をつくってくれる」ということですね。

村中:「DMMぱちタウン」に関しては、競合が市場を占有していることもあり、スピード感を強く意識していましたね。手厚いサポートをするというより、そうしなければ勝てる見込みがなかった。常軌を逸した戦法でなければ勝機がないと思っていたので、一気に市場を取りにいくサポートをしたんです。

岡崎:繰り返しになりますが、10億円の予算を用意するのも、なかなかの意思決定だと思います。

ただ、当然誰もがそうした支援を得られるわけではありません。自分ごとで恐縮ですが、私も配属された動画配信事業で成果を上げることができたからこそ、機会を得られたと思っています。

まずは、足元のことにしっかり向き合う。そこで成果を上げ、機会を欲せば、より大きなチャンスがやってくる環境です。

打席は回ってこない、自ら立つもの

—— 岡崎さんは、「DMMぱちタウン」以外にも、複数の事業で責任者を務めているとお聞きしました。DMM.comで活躍できる人の特徴は、どのようなものだと感じますか?

岡崎:僕なりの言葉で説明すると、「自分から打席に向かえる人」です。「いつか打席が回ってくる」という考え方の人は、活躍しづらいと思います。

DMM.comは自由な発想を尊重する社風ですが、自由には往々にして責任が伴うもの。責任を追わない自由はただのわがままですし、、自分としては「チャンスが回ってくる」という発想自体あまり好きじゃありません。自らに負荷をかけてチャンスを掴みに行くスタンスが活躍のカギだと思います。

一方、自ら打席に向かえる人には挑戦の舞台が用意されます。「こんなことがやりたい」と声を上げれば情報が集まってくる環境なので、積極的な人材にはうってつけだと思います。

村中:「相談すれば誰かが助けてくれる」のがDMM.comの特徴かもしれないね。絶対に誰かが拾ってくれるんですよ。岡崎が相談ベースで起案したビジネスプランの中にも、すでに事業化しているものがいくつかあるはず。

岡崎:農業領域の事業は、僕が起案したものですね。「農業に興味があるんですよね」の一言から始まり、株式会社DMM Agri Innovationが立ち上がりました。

企業を支える事業部を目指して

—— 足元の成果にこだわり、なおかつ積極的に声を上げられる人が活躍できるんですね。ちなみに岡崎さんが今後、DMM.comで成し遂げたいことはありますか?

岡崎:「DMMぱちタウン」チームを、“人材輩出事業部”にしていきたいと思っています。今後もDMM.comはどんどん事業をつくっていくでしょうし、会社の柱になる事業が生まれていくはず。それらの新規事業の営業部長やバックヤードのキーマンが、全員ぱちタウン出身者になるくらいに、人を育ててる・人が育つ組織にしていきたいと考えています。

村中:それ面白いね。ちなみに岡崎は、DMM.comを退職して新しいことに挑戦したいと思ったことないの?

岡崎:今のところありません。転職サイトに登録して求人を見ることはありますけど、事業会社の中でDMM.comより面白い会社はないと思っています。ヘッドハンティングの話をいただくこともありますが、面接は一度も行ったことないですね。

村中:俺、一回も誘われたことないよ(笑)。

岡崎:僕は中堅社員なので、誘いやすいんだと思います(笑)。

組織を離れない理由は、僕が働く上でもっとも大事にしていることが「仕事が面白いと感じられる」からです。ある程度自由に事業を任せてもらえていますし、成果を出せば次の挑戦も後押ししてくれる。次々にアイデアを形にしながら、大きな舞台でフルスイングできる、ありがたい環境だと思っています。

構成:オバラ ミツフミ(モメンタム・ホース) 写真:高橋 団