DMM.comで活躍するキーパーソンのキャリアを紐解き、DMM.comという会社の中でキャリアを築く方法論について明らかにしていく連載シリーズ「チャレンジあるところにチャンスあり DMM式キャリア道」。今回はDMM.make AKIBA事業部 事業部長と株式会社Cerevo 代表取締役を務める大沼慶祐さんにインタビュー。
「商い」に目覚めることになる青年期の原体験から、戦略コンサル・UUUMを経てDMMに至るまでのキャリア、DMMでの経験、今後の展望まで幅広くお伺いしました。

原点は“商売”に目覚めた青年期

—— 大沼さんのファーストキャリアは経営コンサルタントだとお伺いしています。まずは、ファーストキャリアを選んだ経緯についてお話を聞かせてください。

大沼 慶祐(おおぬま けいすけ)エンターテインメント本部 .make AKIBA事業部 事業部長/株式会社Cerevo 代表取締役
慶應義塾大学経済学部卒業。2015年株式会社経営共創基盤(IGPI)入社、戦略コンサルタントとして全社のPDCA改善や新規事業立ち上げ等のハンズオン支援、クロスボーダーのM&A支援に従事。その後、YouTuberのマネジメント事務所 UUUM株式会社に入社。社長補佐や新規メディアの立ち上げ、海外アライアンスを担当後、DMM.com入社。経営企画室にてM&Aの出資検討や新サービスの営業支援を担当後、2019年9月よりDMM.make AKIBA事業部 事業部長を務める。2020年1月7日に株式会社Cerevoの代表取締役に就任。


大沼: 親が自営業だったこともあり、幼い頃から商売が好きで、大学時代は行商をしていました。起業を考えたこともありましたが、「より体系的にビジネスを学ばなければ、生き残っていけない」と強く認識していたので、ファーストキャリアは経営コンサルタントの世界に飛び込んでいます。

事業家を志す原体験は、オーストラリアに住んでいた小学生の頃にまで遡ります。オーストラリアでは、日本で流行ったアニメやおもちゃが1~2年後に流行るんです。その時間差を利用して、夏休みに日本へ帰ってくる度に日本のカードを買い、オーストラリアの学校で売ったら高く売れるな~などと考えていたりしました。


 

—— 小学生の頃から商売感覚を養っていたんですね。当時の経験は、現在のキャリアに影響していますか。

大沼:そうですね。商売の一つの形として、「人々に新しいものを届ける」があると思います。お金は、その対価としてもらうものです。もしも価値が見合わなければ、たとえ数百円でももらえません。その原理原則は、事業規模が大きくなっても変わらない。

十代のうちに、こうした真理を肌身を持って知れたことは、現在のキャリアの土台になっているはずです。

転職の決め手は「挑戦する土壌」

—— 経営コンサルを退職後、インフルエンサープロダクションのUUUMに転職されたんですよね?

大沼:はい。キラキラした会社に見えますが、UUUMの社長は営業畑の出身で、そこでもやはり「商売」を感じました。繰り返しになりますが、お金を稼ぐ方法は基本的に、何かをつくって売るか、仕入れて売るかの二つ。UUUMはそれを愚直に突き詰められる環境だったので、転職を決めたんです。DMM.comへ入社した理由も同様ですね。


 

—— DMMに入社された経緯について、より詳しくお伺いできますか?

大沼:当時は起業しようか、もしくはスタートアップに転職しようか悩んでいました。もちろんDMM.comのことは知っていましたが、入社は考えていなかったんです。しかし機会があってお話をさせていただいたところ、「こんなにすごい会社だったのか」という新たな発見もあって。

調べを進めるうちに、「混沌としつつも、新しいことに挑戦する土壌がある会社だな」と感じ、また自分の仕事の姿勢とシンクロする部分も大きかった。そこで、入社することを決めました。当時は、新規事業をつくりたいと考えていましたね。


 

—— 入社後から現在に至るまでの変遷を簡単にお教えいただけますか?

大沼:最初はクイズアプリ「AQUIZ」のサポートをしていたのですが、あるとき当時の経営企画室長から「DMM.make AKIBAが大変なので、手伝ってほしい」と言われたんです。要するに、事業の立て直しが必要な状況でした。

「来月から異動かな?」くらいの温度感で準備をしていましたが、翌週には「今日の午後から行って」と言われて(笑)。「新規事業がやりたかったんだけどな……」と思いながらも、事業の立て直しを手伝うことになりました。


 

—— 事業を立て直すにあたり、どのようなプロセスをたどったのでしょうか。

大沼:コンサル出身なので勘所は分かりますが、最初は徒手空拳で、手探りでした。しかしコーポレート室や人事のみなさんに協力いただき、他の事業部にアクセスできるようになったことで、一気に立て直しが進みました。

DMM.comには、新しいチャレンジを既存事業のノウハウがサポートしたり、既存事業の改善に新しいチャレンジが活きたりと、互い違いの事業が連携し合う不思議な生態系があります。40以上ある事業部ごとに独自のノウハウやネットワークがあり、そこにアクセスすることで、スピーディーに事業の改善や成長ができるんです。また、COOやCTOはじめ、経営陣同士の横連携がとてもスムーズです。

事業再生は当然、一人でできるものではありません。AKIBAの事業再生は、事業部のメンバーはもちろん、他事業部の人のサポートがあってできたことだと思っています。

社員のフルスイング、大歓迎

—— DMM.comでのキャリアを振り返り、改めてどのような会社だと感じますか?

大沼:「やりたい」という強い想いを持っている人に、惜しみなくチャンスを与えてくれる会社だと思っています。たとえば僕の場合、AKIBAを再建したことを評価していただき、ノウハウが関連するCerevoの代表を任せてもらっている。想いや結果に対して、ちゃんとステージを用意してくれるんです。

また、合理と情理の塩梅が心地いいと感じます。当然結果に厳しいですが、失敗しても、それが本気の挑戦なのであれば「ナイストライ」だと言ってもらえる。合理と情理のどちらかを大事にするのではなく、どちらも大切にしている。この点が、DMM.comが他の会社と一線を画しているポイントだと思います。


 

—— 大沼さんは過去のインタビューで、「事業家として新たな事業をつくり出していきたい」と語られていました。事業づくりをしたい人にとって、DMM.comはどのような環境なのかをお伺いしたいです。

大沼:連続的に事業が立ち上がりやすい環境だと思います。大きな会社ですが、非上場のため、上場企業と比較すると少ないステークホルダーに対して最速で意思決定を求めることができる。

多くの説明責任が発生してスピードが落ちたりせずに、事業が垂直に立ち上がりやすいし、撤退もしやすいんです。その分、事業部長に裁量と責任があるということでもあるかなと思います。

事業家は何か一つよりも、いろいろなことにチャレンジしたい性分だと思います。そうした意味で、挑戦しやすい環境が整っているのではないでしょうか。


 

—— 先ほどもおっしゃっていましたが、失敗しても受け止めてくれる土壌がある……?

大沼:そうですね。人間は完全な生き物ではないので、失敗したら落ち込むし、不安になります。そこに対してセーフティネットが整っているのがDMM.comで、失敗したからといって「出て行け」といったことは一切ない。むしろ「ナイストライ。もう一回事業アイデアを考えて持っておいで。それまではこの事業部にいて、この事業をやってね」といった会話がなされます。

実際、起業するリスクは減っていますが、それでもリスクはつきものです。リスクがつきまとうと、どうしても安全な道に行きがちだったりする。そうしたことを考えずに、大きなフィールドで思いっきりスイングできるのは、とても魅力的だと思いますね。

予測のつかないキャリアを楽しみたい

—— DMM.comに入社した当時、現在のキャリアは想像できていましたか?

大沼:全く予想できませんでしたし、これからも想像がつかないですね(笑)。ただ、やりたいことはあります。それは、事業の“再生請負人”になることです。

DMM.comは事業が多く立ち上がる分、撤退も少なくありません。AKIBAも以前は、撤退対象としてリストアップされるほど経営が上手くいっていませんでした。しかし経営陣も、事業そのものに社会的価値があることは認識していました。だからこそ、なんとかして立て直したかったんです。

“ロマンとソロバン”ではないですが、やりたいことをやり続けるためには、事業として成立させる必要があります。「まずは、経営の立て直し」と自分に言い聞かせ、ちょっとした歯車のズレを直せたことで、AKIBAは再生フェーズをくぐり抜けることができました。現在は、成長フェーズに入っています。

撤退の前に「再生」というフェーズを設け、事業に輝きを取り戻す、もしくは以前より大きく成長させる能力があることは、会社にとって大きなメリットになるはずです。AKIBAを立て直した経験からも、その役割を自分が担っていきたいと思っています。

そこが今順調に回り始めているのは、再生するってフェーズを回してくれたからなんですよ。そこはすごく、会社としては大事なことだと思っている。撤退じゃない、再生っていうフェーズを作ってもいいと思っているので、自分はこれからDMMで何をやりたいかって問われた時は、新規事業も作りたいんですけど、同時に、事業の再生もしていきたいと思っている。何かの歯車のきっかけで、うまくいかなくなった事業もあると思っている。もう一回輝きを取り戻すとか、V字でもっと大きくなる事業部がもっとあってもいいと思っている。それをDMMでやりたいなと思っています。


 

—— そうしたキャリアを「DMM.comの中で」実現したいと考えている理由はありますか?

大沼:挑戦したいことに、脇目振らず没頭できるDMM.comが好きだからです。

レンタルビデオショップから始まった会社が、DMM株やBitcoinなどのFXグループなど金融業界に参戦すると表明したとき、最初はみんなが「上手くいくはずがない」と思ったはずです。しかし、亀山会長はやってみせた。

否定的な声にも負けず、黙々と成長し続けてきたDMM.comのカルチャーはすごくかっこいいと感じますし、僕もその歴史を受け継いでいきたい。誰も想像しないことが次々に起こるこの環境で、自分のキャリアすら予測できない今の状況を楽しみたいと思っています。


 

—— 最後に改めて、DMM.make AKIBAに懸ける想いをお聞かせください。

大沼:まだ日本からハードウェアの大きなユニコーンが出てきていませんよね。僕はAKIBAから、その第一号を生み出したいと思っています。日本の未来を支える“次の卵”を産んでいく施設は、商売としての価値に留まらず、経済的な価値もあるはずです。

ここにいる、あるいはここにいたスタートアップの累計調達額は194億円を超えていて、一つの経済圏になっている。本当にAKIBAにいるスタートアップは素晴らしい企業ばかりで、DMM.make AKIBAの事業部長としても、いちスタートアップの経営者としても尊敬しています。だからこそ、この場所を絶やしてはいけないと、強く感じています。

 

構成:長谷川 リョー(モメンタム・ホース) 写真:高橋 団



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