2018年4月にDMM.comに合流した、ハッシャダイの経営陣3名にインタビュー。ハッシャダイの代表・久世大亮さんは、いわゆる元ヤンキー。そんな久世さんの下には、彼の描く壮大なビジョンに賛同した精鋭たちが集まっています。彼が描く世界は、「お金にならない」と言われていた非大卒人材の支援を、ただの支援だけでなくビジネスへと変化させていくこと。

社会性と経済性を両立した人材支援により、業界の異端児として革新を起こす。定量化できないパワーを持ってして、挑戦を続ける3人に、DMM.comに合流するまでの経緯と、今後の展望を語りました。

格差を是正し、第3の選択肢を提供する。非大卒人材が覚醒する、“発射台”立ち上げのきっかけ

―ハッシャダイは「地方の不良少年・少女や不登校生たちを集め、企業がほしがる人材に育てあげるスタートアップ」として立ち上がったとお伺いしています。まずは、事業内容についてお伺いさせてください。

橋本 茂人(はしもと しげと)株式会社ハッシャダイ 取締役COO・株式会社ハッシャダイファクトリー代表取締役
関西大学卒業。ITフリーランス人材のマッチングサービスを手掛けるベンチャー企業に入社し、営業、採用広報を経験する。2015年独立と同時にフリーのウェブマーケターとして活動し、2016年ハッシャダイの前身となる会社に入社。現在、ハッシャダイ取締役COOおよびハッシャダイファクトリー代表取締役兼務する。


橋本:ハッシャダイは「選択格差の是正」をミッションに掲げ、選択格差の要因となっている機会格差、情報格差、地域格差、学歴格差の4つを埋める事業を展開しています。
事業は大きくふたつあり、ひとつ目が“都心体験型インターンシップ”の「ヤンキインターン」。学歴や地域格差によって可能性に気付けない若者を対象に、東京で生活できる環境とお金を稼ぐ体験を提供しています。
ふたつ目が、地方から地方、東京から地方といった移動体験を提供する「トラベルインターン」。旅先で働きながらお金を稼ぎ、移動体験に伴う価値観の広がりを感じてもらう事業です。
どちらも格差にとらわれない機会を提供することを目的にしており、若者に“第3の選択肢”を与えることを目指しています。

―ハッシャダイにジョインされるまでの経緯について、お伺いさせてください。

橋本:新卒でITベンチャーに入社し、セールスとして働いていました。結果が出せたところで独立し、不動産業界でマーケティング業務に従事していて、そこでの体験がハッシャダイにジョインしたきっかけになっています。
当時の僕にはビジョンがなく、働いていることに胸を張れなかったんです。「もっと社会に貢献できる仕事がしたい」と思いながら働いていたところ、大学時代の友人だった久世(ハッシャダイCEO・久世大亮)に「ヤンキーインターン」の構想を聞き、ジョインして一緒にやることを決めました。
僕と久世は、学生時代に「ヤンキーインターン」の前身となる事業を立ち上げていました。高学歴ではない大学生に通信回線の営業ノウハウを教えて育て上げ、東大や京大といったエリート層が入社するような企業にジョインさせようと奮闘していたんです。しかし当時は、僕たちにもまだ力がなく、構想を実現できていなかった。ただ、時間が経って事業構想が現実的になったんです。
自分がやりたかった仕事だと感じましたし、何よりも久世という人間が好きだった。彼が描いている世界観を、実現したいと思ったんです。

変化を提供し、自らも変化する。“ヤンキー上がり”に魅せられた、非ヤンキーの経営陣たち

―続いて、CTOの横関さんにも、ジョインの経緯についてお伺いさせてください。

横関 秀樹(よこぜき ひでき)株式会社ハッシャダイ 取締役・ CTO
公立はこだて未来大学大学院 システム情報科学研究科修了。2013年NTTコミュニケーションズ株式会社入社。官公庁案件の開発プロジェクトに参画、ベンダーマネジメントに従事。翌年ITベンチャー企業に入社しアプリ開発をはじめとしたソーシャルゲーム事業のバックエンドに転向、全領域を守備範囲とするフルスタックエンジニアとして活動。2018年3月株式会社ハッシャダイ入社。CTOとして技術方針策定や、サービス開発に携わる。


横関:僕の前職は、橋本と同じITベンチャーです。ソーシャルゲームを開発する部署でエンジニアとして働いていたのですが、自分でビジネスを立ち上げたいと思っていたときに、橋本から「話だけでも聞いてほしい」と連絡をもらいました。
教育領域に興味があったのもありますが、入社の決め手は何より久世の存在です。普通、経営人材を採用しようと思ったら、何度も話し合いを重ねるのが鉄則。しかし久世は、開口一番「CTOとして採用しようと思っています」と。
CTOという役割は、経営から技術まで、担当する領域が広い仕事です。その分、ミスマッチが起きるとお互いに不幸になってしまう。だから私は「話し合う前に、その選択は危険ですよ」と伝えました。しかし久世は「橋本がいいと言っているのです大丈夫です」と。すると同席していた橋本も「そういうことなので、ぜひ」と言うのです。そのとき、「僕がこの人を支えないとダメだ」と思ってしまったんです(笑)。
そのときに、久世が「通説に反することやる人だ」と理解しました。通常であれば、企業は優秀な人材を採用し、教育します。しかし久世は、あえて非大卒人材の採用に挑み、彼らが持つハングリーさに懸けている。もともとヤンキーだった久世がそうだったように、彼らが持つ定量化できないパワーを信じてみたくなり、入社を決めました。

―樋口さんは、なぜハッシャダイにジョインされたのでしょうか。

樋口 拓哉(ひぐち たくや)株式会社ハッシャダイ 執行役員・CMO
中央大学卒業。2015年株式会社VOYAGEGROUP入社。広告運用、営業、新規サービスのプロデュースからディレクションと幅広い領域を経験。その後、新卒採用支援事業部でマーケティング領域全般を担当し、MAツール導入やサービスリニューアル等にも関わる。2018年8月 株式会社ハッシャダイ入社。マーケティング全般、新規プロジェクトを担当。


樋口:僕も同様に、久世が描くビジョンに魅力を感じたことがきっかけです。彼とはプライベートで知り合う機会があり、出会ってから1年ほど、ずっと「こんなことがしたい」という話を聞かせてくれていました。「マーケティングに携わりたい」、「教育領域でビジネスを展開したい」といった想いもありましたが、橋本や横関と同じく、久世の描く世界観を実現したくなったんです。
もちろん久世の力になりたかっただけでなく、自分がやりたい仕事ができる環境だったことも、ジョインの決め手になっています。今後のキャリアを考えたとき、いま自分がすべき経験は、「社会に新しい価値を生み出すこと」です。その「価値」のなかで、僕が思う最も重要なことは「変化」すること。
ハッシャダイのビジネスの基盤を構築することは、非大卒人材に「変化」するきっかけを届ける——つまり、社会に新たな価値を生むことに他ならないのです。

―お三方とも、久世さんの描くビジョンに突き動かされ、入社を決められたのですね。

横関:おっしゃる通りです。久世のビジョンの元に集まったのは私たちだけでなく、会社のメンバー全員がそうです。私たちはみな、久世が描く世界観を信じています。たとえるなら、ハッシャダイのメンバーは「幼稚園児が真っ白なキャンパスに向かっている状態」なんです。
小さい頃って、満月を見るだけで感動しましたよね。大人になるとそうした感動や、夢を描くことを忘れてしまいがちですが、ハッシャダイに所属するメンバーは、社会に価値を生むことはもちろん、自分自身が変化することに、いつも目を輝かせている。
具体的な例を挙げると、DMM.comに合流してから、iOSアプリをつくる勉強会を開催しました。全社員の10%が参加する程度だと思っていたのですが、過半数のメンバーが参加したいと申し出てくれたんです。良い意味でも悪い意味でも、メリットの有無を考えず、まずはやってみる——彼らには、変化しようとする姿勢があるんです。

橋本:会社の雰囲気を一言で表現するなら「ワクワク」ですね。代表の久世がビジョンを描き、経営陣が彼の世界観を伝播させていく。メンバーたちは毎日楽しそうに仕事に取り組んでいます。
DMM.comに合流したことで環境も整い、これからさらに大きな成長を目指す段階になっています。

ハッシャダイの使命は“支援”に終わらない。DMM.comの一員として、挑戦の“限界”を超えていく

―会社を成長させるにあたり、VC(ベンチャーキャピタル)から資金調達することも可能だったはずですし、人材や教育に関連した事業を展開する会社に合流するなど、選択肢は複数あったと思います。そうしたなかで、DMM.comへのジョインを選ばれた理由をお伺いできますか?

橋本:教育に理解があることと、自由な社風が決め手です。僕たちは“Choose Your Life”——自ら選択することを大事にしています。「ヤンキーインターン」を利用してくれる若者たちにも、「こうなってほしい」という方向性は示さず、彼ら自身が自分の意志で選択することを何よりも重視しているんです。
VCから出資してもらうことや、グループのメンバーになることは、自分たちで事業の舵取りができなくなる可能性もあります。しかしDMM.comは、どこまでも僕たちの意志を尊重してくれる。グループ会社の価値を最大限に活かそうと尽力してくれるので、ジョインすることを決めました。

横関:僕の経験上、買収された形であれば、親会社の方針の下で事業計画を立てるのが通例です。しかしDMM.comには、そうした制約が全くない。むしろ、戸惑うくらいに自由な環境でした。

―DMM.comのメンバーになっても、ハッシャダイらしさは失われていないのですね。逆に、変わったことはありますか?

橋本:これまでに「挑戦したいけれど、資金の関係で二の足を踏んでいた」ことがいくつもありました。DMM.comのメンバーになったことで、そういった制約が取り払われましたね。横関や樋口のように優秀な人材が続々と集まってきており、選択肢が増えたと思います。今後は、構想中の事業展開を実現するためにも、私たちがどうありたいか、どうあるべきなのかを改めて定義している段階です。

横関:現在は、橋本が言うように、これまで久世が感覚的に行っていた事業推進のノウハウやを言語化しているフェーズです。久世が常に組織の先頭に立つのではなく、メンバー全員が組織を牽引していけるよう、体制を強化しています。

―さらなる飛躍を目指す上で、現在求めている人材像などはありますか?

樋口:教育の現場における旧態依然とした仕組みを変革していける人材を求めています。ハッシャダイは久世の強い想いが先立って生まれた会社なので、彼の想いを汲み取りつつ、ビジネスとしてスケールさせる高い能力を持ったメンバーが必要です。

横関:樋口が言うように高いスキルを持った人材を求めていますが、一方でカルチャーフィットがなければ、採用しないスタンスです。ハッシャダイの事業は社会性と経済性のバランス感覚が大事。根本にあるビジョンに共感していなければ、一緒に働く仲間として迎え入れることはできません。

樋口:たとえば高卒の就職市場には、1人の生徒が複数の会社を受けられない古い慣習があります。この構造はずっと問題視されているのに、10年以上も変化していません。高卒というだけで、明らかに将来の選択肢を失ってしまうんです。まずは、こうした社会課題を解決していきたい。
そして、僕たちの活動はビジネスです。ただ若者の支援をするだけでなく、しっかりと需要をつくり、マーケットを育てていく。僕らとともに、使命感を持って事業にコミットできるメンバーの参画をお待ちしています。

構成:オバラ ミツフミ(モメンタム・ホース) 編集:岡島 たくみ(モメンタム・ホース)