ビジネスプランニング本部.make AKIBA事業部(以下、.make AKIBA事業部)の2名にインタビュー。事業部長の大沼慶祐さん、テックリーダーの山口潤さんにお話を伺います。
.make AKIBA事業部が提供する「DMM.make AKIBA」(以下、AKIBA)は、文字通り秋葉原に設立され、道具や情報、人とのつながりを提供することでものづくりをサポートする施設です。さらに、ものづくりだけでなく、つくったものを事業展開するための支援までを手がけます。
大企業やスタートアップ合計400社以上、17,800人を超える人びとに利用されるAKIBAを軸に、これからさらなる成長を果たすため、意欲的に新規事業の創出へ挑みます。「さまざまな事業の0→1をサポートする」という.make AKIBA事業部の実態に迫りました。

ものづくりのための「リアルな場所」と「コミュニティ」を提供する

―.make AKIBA事業部は、「何でもアリ」なDMM.comを象徴する事業部に思えます。まずは、事業の中心であるAKIBAのことを教えてください。

大沼 慶祐(おおぬま けいすけ)エンターテインメント本部.make AKIBA事業部 事業部長
慶應義塾大学経済学部卒業。2015年株式会社経営共創基盤(IGPI)入社、戦略コンサルタントとして全社のPDCA改善や新規事業立ち上げ等のハンズオン支援、クロスボーダーのM&A支援に従事。2016年UUUM株式会社入社、YouTuber事務所にて社長補佐や新規メディアの立ち上げ、海外アライアンスを担当。2018年DMM.com入社。経営企画室にてM&Aの出資検討や新サービスの営業支援を担当後、2019年9月より現職。


大沼:AKIBAは「ものづくりを起点にした営み」を包括的に支援する施設です。ものづくりのプラットフォームとして活用していただくことはもちろん、つくったものをビジネス展開する支援も行っています。規模や業種にかかわらず、さまざまな企業で働く人びとが集まり、コミュニティができていることが特徴です。 いま、特に力を入れているのは、ビジネスパーソン同士のマッチングです。大企業とスタートアップが交わるハブとなり、事業成長に寄与できるプラットフォームを目指しています。

―DMM.comの事業部のなかでも珍しい、リアルな場所として存在している点が特徴ですね。テックスタッフとして働かれている山口さんは、普段どのようなお仕事をされているのでしょうか?

山口 潤(やまぐち じゅん)エンターテインメント本部.make AKIBA事業部 テックスタッフ
2004年桑沢デザイン研究所卒業。2004年株式会社tecnica入社、工業デザインモデラーとして工業製品のデザインモック製作を担当。2014年株式会社nomad入社、DMM.makeAKIBA立ち上げメンバーとして機材/設備選定~内装設計/施工を監修。2015年株式会社DMM.com入社、DMM.makeAKIBAテックスタッフリーダーとして施設運営管理、ハードウェア開発支援などを担当。


山口:AKIBAは150以上の機材を使ってプロダクトを制作できるシェアファクトリーと、会員同士の交流や会議などを行えるコワーキングスペースに分かれています。我々テックスタッフはシェアファクトリーに常駐し、ものづくりするお客様をサポートしたり、機材のメンテナンスを行ったりしています。
一人ひとりのスタッフが担当の専門分野を持っており、「開発したいものがあるけれど、自分たちで困難な作業や加工がある」というお客様のお仕事を引き受けることもあります。

―なるほど。事業部の人たちは、どのような雰囲気で働かれているのでしょうか?

大沼:メンバーはおよそ60人おり、3分の2がビジネスサイド、3分の1がテックスタッフを含めたテックサイドの人間です。メンバー同士はフラットな関係で、気軽にコミュニケーションを取り合っています。
さらに事業部長の立場からみると、全員が事業部視点でアイデアを出し、主体的にプロジェクトを動かしてくれていて、とても助かっています。

―メンバーが提案したアイデアを、積極的に採用しているのでしょうか。

大沼:企画の論理性や意義はしっかり見ますが、誰のアイデアでも「とりあえずやってみなよ」と背中を押す風土があります。チャンスは全員にあるべきだと思っていますし、やりたいことがある人は基本的にサポートしています。
たとえば、AKIBAにはヘルスケアやバイオ系のプロダクトをつくるための設備がありません。しかし利用者の方の要請を受けたひとりのメンバーが、バイオ系のコワーキングスペースを運営するBeyond Next Venturesさんと提携し、設備を利用させてもらえるようにしたんです。僕たちもサポートはしましたが、基本的にはアイデア出しから実行までひとりで行ってくれました。

―つくれるものの幅が広がったわけですね!他に、特筆すべきカルチャーはありますか?

山口:事業部の社員同士だけでなく、利用者さんとの距離が近いことですね。社員と会員を含めたひとつのコミュニティが形成されている、と感じることが非常に多くあります。

大沼:どんどん人が集まり、コミュニティが拡大していくことにとてもワクワクします。今まで結びつくことのなかった大企業とスタートアップが、AKIBAを介して結びつき、心躍るプロジェクトを手がける様子を見ていると、この場を運営していて良かったと強く感じますね。

「ものづくり」と「事業づくり」のプロフェッショナルが集う環境

―大沼さんはどういった経緯で今のポジションに就かれているのでしょうか?

大沼:DMM.comは3社目です。経営共創基盤(IGPI)という戦略コンサルを経て、YouTuberのマネジメントを主たる事業とするUUUMで働いた後、事業づくりにコミットできる環境を求めてDMM.comに入社しました。入社後は経営企画室に所属し、投資周りの業務や営業チームの立ち上げに携わり、2019年9月から.make AKIBA事業部の事業部長になりました。
ものづくりをテーマにする事業に興味を持っていたので、経営企画室に在籍しているときからAKIBAのことを気にしていて、見学に来たこともあったんですよ。

―さまざまな事業部があるなかで、.make AKIBA事業部を選んだ決め手はありますか。

大沼:40以上の事業を手がけるDMM.comですが、なかでもAKIBAは外に開かれていて、未知のスタートアップの技術に触れられる。さまざまな事業のタネが生み出されていく環境が 、大きな魅力でした。

―とはいえ、大沼さんはものづくりの経験はなかったんですよね。ビジネスサイドを長く経験してきたがゆえの働く難しさを感じたことはありませんでしたか?

大沼:もちろん最初は戸惑うこともありました。しかし、AKIBAに揃うメンバーは、全員がものづくりのプロフェッショナルというわけではありません。事業づくりの支援も行うため、ビジネスサイドの知識や経験は十分に活かせる環境ですし、息苦しさを感じることはないですね。

―山口さんは、どういったきっかけでテックスタッフを務められているのでしょうか?

山口:僕は前職で、工業デザインモデラーという、デジタルカメラ等の工業製品のデザインモックをつくる仕事をしていました。しかし、スマホの登場とともに会社が失速してしまい、前職の会社が解散してしまったんです。
次の転職先を探していたとき、AKIBAの立ち上げプロデュ―サーである小笠原治さんに声をかけてもらいました。僕も立ち上げに参加し、その後テックスタッフになりました。

「受託」ではなく、「パートナー」として伴走する

―.make AKIBA事業部で活躍する人たちに共通する条件はありますか?

大沼:好奇心を持って、人のためにおせっかいを焼ける人が活躍していますね。
たとえば、最初はここでアルバイトをしていて、そのまま新卒入社したメンバーがいます。彼は学校法人向けにAKIBAと似たコンセプトの施設の設立支援をしており、「ここにはこういう機材を置くといい」「こういうコンセプトを打ち出すのがいい」といったアドバイスをどんどん投げかけ、若手ながら成果を出してくれています。

山口:事業部のバリューとして「泥臭く、おせっかいにサポートしていく」ことを掲げています。ただの「受託」ではなく、「パートナー」としてのスタンスでお手伝いすることを、スタッフみんながて大切にしているんです。
たとえば、ある部品をつくりたい利用者さんがいたとして、そのつくり方だけを単発でお伝えするだけでは、不十分だと考えるのが“私たち流”。大量生産を目指しているのかや、どういった環境で使われるのかといった要素をヒアリングし、「こうしたほうが良い」というアドバイスをしているんです。

―なるほど。これから、事業部を拡大させていく上で、将来のメンバーに求める素養はありますか?

山口:積極的におせっかいするためには、コミュニケーション力が何より大切。あとはものづくりが好きだったり、技術力を持っていたりすることはもちろん、自分の得意の分野だけで満足せず、好奇心を持って新しい技術を習得していける人が望ましいです。
今後、アクセラレーションプログラムを手がける企業とも協業していくので、エンジニア人材だけでなく、プロジェクトを推進できるマネージャーとして動ける人材も求めています。

大沼:ビジネスサイドもテックスタッフも、BtoBとBtoCの両方の多種多様なサービスに接する機会が多いです。それぞれが異なる課題を抱えているなかで、それぞれのポイントを整理し、解決まで導ける人に来てほしいです。さらに、そのために全力を尽くせるマインドセットも併せ持っていてほしいですね。

“世界最先端”である自覚を持ち、新たな収益の柱をつくる

―.make AKIBA事業部は、どのような展望を描いているのでしょうか?

大沼:まず、似た業態のなかでは、世界有数のシェアファクトリーに加えて、コンサルティングや教育など他の業態にはないサービスを提供できていると思っています。世界から遅れを取るわけにはいかないので、常に自分たちをアップデートしていかなければなりません。
これからはより事業成長に注力しなければいけないフェーズですが、リアルな場所を提供するサービスゆえ、売上が床面積によって限定されてしまう点など、さまざまな課題があります。そういった状況を打破するため、中長期的には、新たな収益の柱をつくらなければならないと思っています。現在の事業の足元を固めていくと同時に、その延長線上にある新規事業の創出を見据え、議論している最中です。

―業界の先頭を走り、まだ誰も見たことのないようなサービスを生み出していくと。そのような状況のなか、.make AKIBA事業部で働くからこそ得られるスキルや経験があれば教えてください。

大沼:0→1で何かを考え、実行するスキルですね。仮に起業する場合、0→1はそうそう何回もできる経験ではありませんが、AKIBAはいくつもの0→1に関われる環境で、それらのプロジェクトを支援することで多くの知見が得られる。事業部としても、0→1で新規事業をつくろうともがいている最中ですしね。

山口:ものづくりの技術を習得できるだけじゃなく、それを実際に製品化し、事業として成立させていくことを学べるのは大きいです。もし自分で事業を興したくなったとき、糧になるスキルが身につくと思っています。お客様と一緒に事業をつくっていきたい強い想いがあれば、大きな成長が期待できるはずです。

構成:岡島 たくみ(モメンタム・ホース) 編集:オバラ ミツフミ(モメンタム・ホース)