2018年10月にDMM.comの一員となった、株式会社終活ねっと代表取締役の岩崎翔太さん、CTOの組田隆亮さんにインタビュー。
岩崎さんは灘高を卒業後、東京大学に入学し、学部3年次に起業を決意。2016年4月、同じく東京大学に入学した高校の後輩である組田さんを誘い、ライフエンディング領域でNo.1を目指す終活ねっとを立ち上げました。
「どうせやるなら、日本一」という壮大な目標を掲げ、まだ日本に存在しない新たなサービスを創出したいと、レガシー産業の変革に挑む若き起業家たちの挑戦を語ってもらいました。

東大の学食で起業のオファー「日本一の会社をつくろう」

―まずは、「終活ねっと」を立ち上げたきっかけについてお伺いさせてください。

岩崎 翔太(いわさき しょうた)株式会社終活ねっと 代表取締役CEO
灘高校を卒業後、2014年に東京大学文学部に入学。2016年株式会社Extonic(後の終活ねっと)を設立し、代表取締役CEO就任。2017年12月には通算1億円の資金調達を実施。2018年10月にDMM.comと資本業務提携契約。東京大学文学部在学中。


岩崎:2016年4月、普通の大学生活に満足し、「起業しよう」と思ったことが終活ねっと立ち上げのきっかけです。「起業するなら優秀な仲間が必要だ」と考え、思い浮かんだのが同じく灘高の2つ下の後輩の組田でした。組田は高校の副生徒会長で、さらにデザイナーとしても活躍していて、学内で有名だったんです。組田とつながりのある僕の友人に「組田を紹介してくれ」と頼み、すぐに大学で会いました。初めて会ったのは、入学式の4日後です。
東京大学の学食で安いご飯をご馳走して「一緒に起業しよう」と誘ってみたところ、二つ返事で快諾してくれました。あまりにもスムーズだったので、逆に僕が「本当に?」と聞き返してしまうほどでしたね(笑)。当時はまだ、明確なビジネスプランもありませんでした。

―誘った岩崎さんの方が、戸惑ってしまったと(笑)。組田さんは、なぜ起業することを選ばれたのでしょうか?

組田 隆亮(くみた りゅうすけ)株式会社終活ねっと CTO
東京大学工学部に入学。デザインに打ち込んだ高校生活から一転、代表の岩崎とともに株式会社Extonic(現:終活ねっと)を設立し、CTO就任。


組田:岩崎が声をかけてくれたので「こんな機会は滅多にないな」と思い、一緒に起業することを決めました。現在はCTOですが、岩崎が言ったように、もともとグラフィック制作をしていて、プログラミングは畑違い。ただ、以前からプログラミングへの興味はあったので、起業をするにあたり独自に勉強を始め、現在に至ります。

岩崎:胡散臭い誘いだったと思うんですけどね(笑)。

―領域を「ライフエンディング」に定めた背景についても、お伺いさせてください。

岩崎:「ライフエンディング」に行き着いたのは、IT化が遅れていて、かつ大きな課題があったからです。日本の高齢化は世界一なので、これからさらに終活領域の課題が増えていくことは明確ですし、IT化させることで解決出来る社会問題がたくさんあると感じました。
さらに「第一想起」されるサービスが存在しませんでした。結婚といえば「ゼクシィ」、食べ物といえば「食べログ」と思い浮かぶサービスがありますが、終活市場には、圧倒的なシェアを獲得しているプレーヤーがいない。「どうせやるなら、日本一のサービスをつくろう」と強く思いました。

終活ねっとの信念「素直さこそ、最大の成長要因」

―組織の雰囲気について、お伺いさせてください。

岩崎:学生時代に立ち上げたこともあり、若くて活気があるのが特徴です。平均年齢が21際で役員も若く、DMM.comに合流するまでは、ほとんどのメンバーが学生でした。今でも、学生がマネージャーを務めている事業が多くあります。

―若い組織だと、ライフエンディングへの知見があるメンバーが少ないのではないかと思います。どのようにして、組織を成長させてきたのでしょうか。

岩崎:そもそも、学生や社会人といった属性だけで優秀さを推し量っていません。また、ライフエンディング領域で事業を経験したことがある人自体が少ないので、成果にほとんど影響を与えません。ポテンシャルがあり、真に優秀な人が成果を出す領域なんです。
そうした方針のもと、若くて優秀な人材を採用し、教育に重きを置いてきました。最初の頃は、「若手ばかりのチームで大丈夫?」と言われることもありましたが、結果的にはライフエンディング領域でアクセス数が圧倒的No.1(※)のサービスを運営できています。

※Nielsen Mobile NetView調べ(2019年7月度データ)

―組織の若さは、成果に関係しないと。

岩崎:そもそも年齢は判断要素ではありません。こだわりのない会社なので、結果を出せる人であれば何も気にしていません。

組田:年齢は関係なく、素直な人ほど成長のスピードが早いし、限界もない。変なプライドやこだわりがなく、何事も素直に受け入れられる人間性を持った人こそが、真に優秀だと思っています。

―では、採用もそうした「優秀さの定義」によって、判断されているのでしょうか。

岩崎:そうですね。採用は教育よりもこだわっていて、人間性をしっかり審査しています。極端な話ですが、優れた頭脳を持った方であっても、私たちが考える「優秀さ」の定義を満たしていない場合は、お断りさせていただいています。
また「スタートアップ」という言葉から、キラキラしていたり、“イケイケドンドン”な仕事を連想されることも多いですが、9割の仕事は「泥臭い」ものです。終活ねっとも例外でなく、成果に愚直に向き合える人を募集しています。
採用で特に見ているのは「形にこだわらず、集中力があり、持続的に成果を出せる人材」かどうか。一時的に自分を優秀に見せかけることは、誰にでもできます。その事実を十分に理解しているので、採用には何より力を入れているんです。

「世界的に優秀」なエンジニア組織が屋台骨

―DMM.comに合流したことで、組織の雰囲気や事業の成長に変化はありましたか?

岩崎:事業の方向性と雰囲気ともに、大きな変化があったわけではありません。ただ、事業面での成長スピードは加速しています。DMM.comグループに入り、余裕ができたことで、事業を一気に拡大しているフェーズです。

組田:事業拡大のスピードが上がった要因として、たとえば「エンジニアのリソースを借りることができる」といった、 DMM.comがバックにいるゆえの強みがあります。豊富なエンジニアリングの経験を持った優秀なエンジニアが、開発のアドバイスを定期的にくれたり、開発に参加してくれたり。成長に不可欠なリソースを素早く調達でき、助かっています。

岩崎:必要な時にはいつでも相談に乗ってくださり、繋がりたい会社を紹介してくれたり、人材を紹介してくれたりとサポートは多岐にわたります。

―組織やサービスが成長しているエピソードを、具体的に教えていただけますか?

組田:セールスの担当者が複数名ジョインしてくれましたし、エンジニアの正社員は5名程度増えています。組織規模が急激に大きくなり、M&A前から体制が大きく変わりましたね。

岩崎:少数精鋭の組織だったので、メンバー全員がプレーヤーとして動いていましたが、優秀なメンバーが増えたことで、経営陣が組織のマネジメントや会社の未来について思考することに時間を割けるようになりました。マネジメントの体制が整ったことで、採用活動は今まで以上に順調です。
世界的で活躍できる優秀なインターン生が多く、「国際情報オリンピック」の日本代表メンバーも所属しています。彼は高校生時代に日本人では30名程度しかいないと言われているレッドコーダー(※)となり、学生でも世界レベルの技術を有しています。そうしたメンバーと刺激を与え合える環境です。

※レッドコーダーとは オンラインで世界中の人々が参加する最大規模のプログラミングコンテスト「AtCoder」で特に優秀な成績を残した人に贈られる称号。

組田:社内で行っている教育制度には関係なく、高い技術力を持った学生たちが、自主的に勉強会を開催しています。日々個人が成長していいて、組織の成長を後押ししてくれていますね。

岩崎:セールスのメンバーの平均年齢は30歳なので、若い人材にこだわっているわけではありません。可能性を秘めた能力の高い人材を集めています。

業界No.1ブランドを目指す構想に、死角なし

―今年の5月には新たにサービスを3つリリースされ、現在も事業を拡大中の終活ねっと。今後の展開についてお伺いさせてください。

岩崎:まずは、今年の5月にリリースした新サービス(※)をバーティカルに成長させていきます。今後、終活ねっとの根幹となる主要事業なので、それぞれで日本一を目指しているところです。
ただ、私たちが目指すのは、あくまで「終活のNo.1ブランド」。今後は、終活ねっとを「ライフエンディングに関する全ての課題を解決する」ブランドにするつもりです。

※セットプランから選んで、お葬式を施行できるサービス「終活ねっとのお葬式」、菩提寺のない人のために定額で僧侶を手配するサービス「終活ねっとのお坊さん」、希望の供養形態に添って全国の施設を比較検討できるサービス「終活ねっとのお墓探し」

―今後ビジョンの達成を目指す上で、一緒に働きたい人物像について教えてください。

組田:エンジニアでいえば、今の時点で高い技術力を持っている必要性はありません。初心者であっても、成長欲求が高く、素直に物事を受け入れられる人間性を持っていれば、一緒に「終活のNo.1ブランド」を目指せると思っています。

岩崎:全職種で積極的に採用をしていますが、共通する人物像は、「客観性が高く、他責思考がない」点です。

岩崎:当事業部の教育制度に絶対の自信があり、スキルがないところからのスタートでも、活躍できる存在になれる土壌があります。スタートアップ特有の“ガツガツした感じ”が一切ないところも特徴でしょうか。
これまでも、そしてこれからも、トップの価値観を押し付けることはせず、「心理的安全性」を守ることで個人の成長を後押ししていきます。これまで挑戦したい気持ちと裏腹に、スタートアップに踏み出せなかった人であっても、活躍できる土壌が整っている。ぜひ、門を叩いていただければと思います。

構成:オバラ ミツフミ(モメンタム・ホース) 編集:岡島 たくみ(モメンタム・ホース)